魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
「俺はスレイバート・ボースウィンとして生まれたことを後悔しちゃいない。……って言いきっちまいとこだが、半々だな。自由の無い生活はきつかったし、お前も知っての通りついこないだまで棺桶に片足を突っ込んでたんだ。でも、これだけは幸せだったって言えるのは……やっぱ出会いなんだよ。周りにいるやつらが、俺を俺として認め、応援してくれてる。そのことだけは……感謝してもしきれねー。だから……幸せじゃねーなんて、口が裂けても言えねーよ」
そうですか、と納得しようとした矢先。彼は、「でもな」と頼りなげに視線を斜め下に落とす。
「それが俺個人じゃなくボースウィン公爵としての幸せだって言われたら――俺はもう、立場と自分を切り離せねーからよく分かんねえんだ。この満足してるよーな、なにか足りねーよ―な気分を、この先もずっと持て余していくんだろうな」
その姿を見て……なんだか私は苦しそうだな、と感じてしまった。
すべてを持ち合わせているように見える彼だが、決して傲慢なのじゃなく、生まれ持った立場のために最大限の努力をさせられてきた。ゆえにその環境が……彼の個人的な感情を自分でも分からないくらい奥深くに閉じ込めさせてしまったのだろう。
それは……ハクスリンゲン家にいた頃の私と似ていて、周りの人の強要がなかったにせよ……いや、なかったからこそ彼は自分で、自らのの本心を強く強く押さえ込んでいるのだ、今も。
そうですか、と納得しようとした矢先。彼は、「でもな」と頼りなげに視線を斜め下に落とす。
「それが俺個人じゃなくボースウィン公爵としての幸せだって言われたら――俺はもう、立場と自分を切り離せねーからよく分かんねえんだ。この満足してるよーな、なにか足りねーよ―な気分を、この先もずっと持て余していくんだろうな」
その姿を見て……なんだか私は苦しそうだな、と感じてしまった。
すべてを持ち合わせているように見える彼だが、決して傲慢なのじゃなく、生まれ持った立場のために最大限の努力をさせられてきた。ゆえにその環境が……彼の個人的な感情を自分でも分からないくらい奥深くに閉じ込めさせてしまったのだろう。
それは……ハクスリンゲン家にいた頃の私と似ていて、周りの人の強要がなかったにせよ……いや、なかったからこそ彼は自分で、自らのの本心を強く強く押さえ込んでいるのだ、今も。