魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
「きゃぁぁぁぁっ! スレイバート様頑張ってぇぇ!」
「ルシド君も華麗な風魔法で私達を魅了してぇぇ~!」
(本当にすごい人気っ……!)

 きぃんと響く声援に耳を蓋しながら、私は試合を見守る。

 テレサから聞いた話だと、ルシドはあの若さで城の上級騎士の中でも五本指に入る精鋭で、この先騎士団を束ねることも期待されている逸材。

 そしてスレイバート様は至っては、王都で開催された国王もご照覧になられた剣術大会での優勝経験者なのだとか。なんにしても激しい試合になるのは間違いない。

(あっ……)

 期待溢れる観衆たちの視線の中、スレイバート様が先に動いた。とんと軽く地面を蹴ると一瞬で距離を詰め、ルシドに容赦ない横振りの斬撃を繰り出す。

 ガシュッ、という音がして初めてルシドがそれを受けたのが分かった。でもそんなのは最初だけで。
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