魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
 決着が付き、まばらな拍手からゆっくりと訓練場は大声援に包まれていく。結界が解除され、頂点からが光の蓋がすうっと空中に溶けていった。

 そんな中私達はルシドに駆け寄ると、意識の有無を確かめた。どうやら気絶しているようだ。
 テレサが治療魔法をかける中スレイバート様は軽く剣をあげて観衆に応えるも、その表情に喜びはなく、静かに訓練場を引き上げていく。

「……テレサごめん。ルシドを見ていてあげて」
「お姉様、どちらへ――」

 そんな彼の冷たい態度がどうしても気になって……。

 私はその背中に追いすがるように、急ぎ足で後を追っていった。



「スレイバート様!」

 城内の廊下を悠々と進んでいく彼に後ろから声を掛けたが、反応すらない。
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