魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
「なんのための訓練だと思ってる。実戦で負けりゃあ待つのは死なんだ……。訓練でさえ力を発揮できないやつが、そんな場所で生き残れるかよ。勝たなきゃすべてを失う……それを教えようとするなら、あれでも生温い」
手厳しいスレイバート様の非難に、私は押し黙るしかない。生き死にの懸った場所に出向いたことのないこちらがなにも言えずにいると、彼はさらに強く吐き捨てる。
「お前は知らねーだろうが、この土地は常に平和なわけじゃない。敵国と魔物の脅威に晒された時、敗北を知らないやつの行きつく先は慢心による死だ。中途半端に強さを得たつもりになって、成長を止めたやつから戦場で死に直面し、後悔する……」
彼の腰に添えられていた手が、強く握り込まれる。
「これからボースウィン領はますます繁栄し、平和な時代に突入するだろう。それを経験しちまえば苦しかった記憶なんざ、すぐに薄れちまう。だがな、俺達戦う者には領地や民を守る責任がある。忘れねえよう、誰かが思い出させねーとならねえんだ。なにかを失う痛みとか悔しさってやつをな……」
大切な場所を守ってゆく覚悟を得るために、戦う者が苦痛を背負う――。
それは正しいことなのかもしれないけれど……やっぱり、私にはすんなりと呑み込めない。
手厳しいスレイバート様の非難に、私は押し黙るしかない。生き死にの懸った場所に出向いたことのないこちらがなにも言えずにいると、彼はさらに強く吐き捨てる。
「お前は知らねーだろうが、この土地は常に平和なわけじゃない。敵国と魔物の脅威に晒された時、敗北を知らないやつの行きつく先は慢心による死だ。中途半端に強さを得たつもりになって、成長を止めたやつから戦場で死に直面し、後悔する……」
彼の腰に添えられていた手が、強く握り込まれる。
「これからボースウィン領はますます繁栄し、平和な時代に突入するだろう。それを経験しちまえば苦しかった記憶なんざ、すぐに薄れちまう。だがな、俺達戦う者には領地や民を守る責任がある。忘れねえよう、誰かが思い出させねーとならねえんだ。なにかを失う痛みとか悔しさってやつをな……」
大切な場所を守ってゆく覚悟を得るために、戦う者が苦痛を背負う――。
それは正しいことなのかもしれないけれど……やっぱり、私にはすんなりと呑み込めない。