魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
「で、でも、ルシドは……彼はあれだけあなたを慕ってるのに。……言葉で伝えるだけじゃ、いけないんですか?」

 ルシドはスレイバート様をあんなにも尊敬していて、話を聞けばきっと真摯に受け取ろうとするはず。だが、そんな訴えすら彼は鼻でせせら笑う。

「はっ……生半可な言葉からなにを学べと? あいつは、これから騎士団を率いていく人材だ。やつにそのつもりがあるなら、あんなもんじゃ足りねえ。最低限、俺と張り合える程度になってもらわねえと話にすらならねえんだよ」

 それはルシドに対する期待の表れとも取れるけど……でもその態度は、どこかひどく個人的な感情をぶつけているようにもとれて、私はさらに言い募った。

「み、皆があなたみたいに特別じゃないんです! ルシドだって頑張ってます、なのに無理をさせたら……」
「――俺が、特別……?」

 そこですっと、彼の瞳の温度が下がり、光が消える。
 がっと肩を掴まれ、背中が強く壁に押し付けられた。私はたまらず咳き込む。

「けほっ……」
「どこがだ。俺は特別なんかじゃねぇ……」
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