魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
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セルベリア共和国は、ラッフェンハイム帝国の北部、ボースウィン領と国土を接する二か国のうち西寄りに位置する国家である。
彼、ルシド・ネプティルはその指導者である国家元首の二番目の息子として生まれた。いわば帝国での第二皇子に当たる地位で、その上には次期元首となる兄と、優しい姉がいた。
だが、国土の広大な砂漠地帯を利用した砂船貿易で国益を賄うこの国は、発足して歴史が浅く、情勢は安定していない。
政権転覆なども頻繁に起こり、ある時……現政府に対抗する反政府派が、移動中の砂船を襲い、当時まだ六歳であったルシドと、二つ上の姉アイリーンを拉致してしまった。元首の子を人質に取ることで、共和国の実権を奪い取ろうと目論んだのだ。
実の子どもの命が握られているとはいえ、一国の運命を左右するそんな要求は当然聞けず、元首はそれを拒んだ。
見捨てられたふたりは用済みとなり、反政府派内では、政府への見せしめとして処刑するという決定が下されようとしていた――その時だった。
『――あなた方の本懐は、共和国政府を打倒し、この国を変えることにあるのでしょう? でしたら、私たちという駒を簡単に手放さず、もっと有効に使う道があるはずです』
セルベリア共和国は、ラッフェンハイム帝国の北部、ボースウィン領と国土を接する二か国のうち西寄りに位置する国家である。
彼、ルシド・ネプティルはその指導者である国家元首の二番目の息子として生まれた。いわば帝国での第二皇子に当たる地位で、その上には次期元首となる兄と、優しい姉がいた。
だが、国土の広大な砂漠地帯を利用した砂船貿易で国益を賄うこの国は、発足して歴史が浅く、情勢は安定していない。
政権転覆なども頻繁に起こり、ある時……現政府に対抗する反政府派が、移動中の砂船を襲い、当時まだ六歳であったルシドと、二つ上の姉アイリーンを拉致してしまった。元首の子を人質に取ることで、共和国の実権を奪い取ろうと目論んだのだ。
実の子どもの命が握られているとはいえ、一国の運命を左右するそんな要求は当然聞けず、元首はそれを拒んだ。
見捨てられたふたりは用済みとなり、反政府派内では、政府への見せしめとして処刑するという決定が下されようとしていた――その時だった。
『――あなた方の本懐は、共和国政府を打倒し、この国を変えることにあるのでしょう? でしたら、私たちという駒を簡単に手放さず、もっと有効に使う道があるはずです』