魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
 そしてその後……反政府派に身柄を追われることになったものの、ルシドは今の養父で元使用人のレーフェル町長とアルフリードたちの助けもあってどうにか逃げおおせ、帝国で新たな生活を送り始めることになった、ということだった――。



「姉がいなければ……僕はずっと人質としてあの国で囚われの生活を送ることに……いえ、生き残ることすら難しかったと、そう思います」

 柔和な青年の壮絶な過去を、私は信じられない思いで聞いていた。

「そ、それで……お姉さんたちは?」
「いまだ共和国では、現政府と反政府派の争いが続いているようです……。確かな情報はなかなか得られず、なんとも」
「そう……」

 ベルージ王国のように敵対すらしていないが、さりとて国同士で人の出入りもほとんどなく、国境付近に訪れた商人たちなどからの噂が流れてくるのを待つことしかできないという。

 あまりにも重たい内容に、軽はずみに声をかけることもできず、私はしばらく沈黙していた。
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