魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
「ありがとうございます。シルウィー様」
私の言葉を聞いてなにかを感じてくれたのか、すっと背筋を伸ばしたルシドの瞳が、いつもの素直な輝きを取り戻す。
「僕、焦ってました。なにも手応えが感じられなくて。姉のことや……成長しない自分のこと……それから、僕らを遠ざけようとする、スレイバート様のこと。まごついている内にすべてを失うくらいだったらなにかを切り捨てても、どれかを選ばなきゃって……そんなことばかりを考えていたんです」
「うん……分かるよ。大変な問題に突き当たると、なにもかもが嫌になって、全部投げ出してしまいたくなるもの」
生きていくのって、どんどん高くなる山を登らされているようなものだ。年を取るごとに平坦な散歩道は険しい崖へと変わってゆく。とてもしがみついていられなくなり、手を離して落ちてしまうことだってある。
でも、そんな時……周りの人はきっと違う視点で自分を見つめてくれている。助け起こして上るのを手伝ってくれる人もいるだろうし、迂回路や休憩地点、別の方法で目的地にたどり着けることを教えてくれるかもしれない。そして、自分の方だって、今まで得てきた経験で他の人を助けることだってできるはず。
自分を信じて努力することは大切だ。でも……なにをしても駄目な時はきっと、一度自分を見つめ直すべき時なのだ。周りの人たちを頼ってみることで周囲の景色が大きく広がることだってある。
私の言葉を聞いてなにかを感じてくれたのか、すっと背筋を伸ばしたルシドの瞳が、いつもの素直な輝きを取り戻す。
「僕、焦ってました。なにも手応えが感じられなくて。姉のことや……成長しない自分のこと……それから、僕らを遠ざけようとする、スレイバート様のこと。まごついている内にすべてを失うくらいだったらなにかを切り捨てても、どれかを選ばなきゃって……そんなことばかりを考えていたんです」
「うん……分かるよ。大変な問題に突き当たると、なにもかもが嫌になって、全部投げ出してしまいたくなるもの」
生きていくのって、どんどん高くなる山を登らされているようなものだ。年を取るごとに平坦な散歩道は険しい崖へと変わってゆく。とてもしがみついていられなくなり、手を離して落ちてしまうことだってある。
でも、そんな時……周りの人はきっと違う視点で自分を見つめてくれている。助け起こして上るのを手伝ってくれる人もいるだろうし、迂回路や休憩地点、別の方法で目的地にたどり着けることを教えてくれるかもしれない。そして、自分の方だって、今まで得てきた経験で他の人を助けることだってできるはず。
自分を信じて努力することは大切だ。でも……なにをしても駄目な時はきっと、一度自分を見つめ直すべき時なのだ。周りの人たちを頼ってみることで周囲の景色が大きく広がることだってある。