魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
「大丈夫、まだなにも終わってないもの。あなただってもっと強くなるし、お姉さんやスレイバート様のことだって、私たちで色んな解決方法を探してみせる。それに……今に私だって、自分の身を守れるくらいの力を身に着けてみせるわ。世の中には魔道具だってあるし、そのうち自分で魔法を使える方法が見つかるかもしれない。だから悲観せず、あなたは自分に自信をもって進んでいって。それが必ず、私たちへの助けにもなるんだから」

 物事を解決するのは単純な武力だけじゃない。知識やお金、弁舌や人望の強さだって立派な力だ。彼が直面している問題にも、戦わずに済む方法もきっとある。国と国という大きな単位の争いであってすら、話し合いで解決することもあるのなら、もっと小さな個人の問題なんて、きっと色んな手段で乗り越えられる。

「はい……。僕も周りの人たちをもっと信じて、貸してもらえた力以上のものを返せるように、頑張っていきます! それがきっと、僕の目指すところにも繋がっていくんだと、そう思えましたから!」

 よかった……。ルシドの中にあった大きな葛藤に区切りがついたみたい。これできっと彼も、また顔を上げて前に進める。
 そう言うと、彼は内心でほっと胸を撫で下ろしていた私の手を両手で強く握り、若葉を思わせる明るい緑の瞳でまっすぐに見つめてきた。

「あの、シルウィー様……」
「は、はい?」
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