魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
(俺は……間違ってないはず、だよな)

 再確認する……シルウィーはきっと俺の側では幸せにはなれない。そう思ったからこそ俺はあいつの提案にかこつけ、彼女を外に追い出した。

 なのに、今ではより一層あいつのことが気になっていて、思い出す度に胸の奥がぐっと締め付けられる。そんな想いも時間が経てば少しずつ薄らいでいくものかと思っていたが、どんどん強まる一方で……。

「閣下。ずいぶんと深いお悩みのようですねぇ。お話をお聞きしても?」
「……いや、個人的なことだ。気にすんな」

 気づけば、クラウスの姿が隣にあり、穏やかな瞳でこちらを見つめている。

 こいつは言ってみれば、俺の兄貴分のようなものだ。クラウスの父親がうちに仕えていたせいで、俺とは違った角度から親父を見続けてきた。

 だが俺も、この年になって弱みを打ち明けることは気恥ずかしく、何事もなかったかのように席に戻ろうとする。
 それを見越したように彼は、ふっと笑うと意外な事実を教えてくれた。
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