魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
 クラウスはその事実を踏まえた上で力説する。

「せっかく、当地に明るい兆しが見え始めたのです。アルフリード様は残念ながら早くにその地位を譲られましたが、あなたの統治はまさにこれから。目の前に高き壁があるのなら、闇雲に手を掛けるのではなく、まずは小さな段を積み重ねて土台を作るべきだ。それはいつか必ずや、未来の領民達が望む戦なき時代への大きな足掛かりとなることでしょう。それが成し遂げられたとしたら、領主としてはあなたの方が格上だと胸を張ることができるのではないですか?」
「お前なぁ……親父を尊敬してたんじゃないのかよ」
「ま、それはそれですな。今の上司はあなたですので」
「調子のいいやつ」

 親父への憧れもあり、親から領主補佐の仕事を引き継いだクラウスは臆面もなくからからと笑う。この調子なら、俺に何かあっても頼もしいこいつらのおかげでなんとかなるだろう。
 もっと仲間を信じ、肩の力を抜いてもいいのかも――そんな信頼を抱きかけていた俺は、次のこいつの言葉に噴き出した。

「ところで閣下。シルウィー様とのご結婚ですが、一体時期はいつ頃に?」
「――げほっ! お……お前」
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