魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
 そういえばクラウスは、こないだも俺にシルウィーとの時間を取らせようと、無理に仕事を詰め込みまくってやがった。そのせいでこいつ自身も徹夜続きで苦しんでいたため、お互い様といったところだが。

 こいつは聡い男だし、俺がシルウィーを城の外に出した意図くらいはとうに理解しているはず。なのにわざわざこんなことを聞いてきやがって……。

「閣下も身を固められるのによい年頃。本年度以内に式をあげるのを、城内の者ともども楽しみにしておりますよ」
「そりゃ見当外れだ」

 涼しい顔でプレッシャーをかけてくるクラウスに、席に戻った俺は机に手のひらを叩きつけて牽制(けんせい)する。

「言っとくが、俺はシルウィーと結婚するつもりはねえ! 婚約も近日中に取り下げるつもりだから、手配しといてくれ」
「おやおやなぜです?」

 するとクラウスは俺の近くに歩み寄り、顔を覗き込みながらわざとらしく抗議してくる。こいつのこういう人を食ったところは、昔っから大っ嫌いだ。
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