魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
「今やシルウィー様は領内で聖女との呼び声も高く、かつあの賢者マルグリット様のご息女にあたる才媛ですよ。頭脳も明晰、働き者で他者を見下さない清い心の持ち主です。ご実家が貴族籍を抹消されることが決まったとはいえ、これほどの人材は滅多に見つからないと思いますが……」
「あのな……。って、それは聞いてねえが、本当なのか?」

 ハクスリンゲン家の没落が決まったという話に、俺は眉根を寄せる。するとクラウスは真新しい一枚の調査書を封筒から俺に抜き出して渡す。

「ええ。調べた結果、やはり当主のゴディアは王家が求むる賠償金を支払いきれなかったとのこと。シルウィー様の支度金でかなりの額が懐に入ったというのに、それでも足りなかったとは……恐ろしい話だ」
「…………ふむ」

 書類に目を通せば、ハクスリンゲン家は半年後に領地を没収、貴族籍を抹消され平民に堕ちるということでカタがついたとのこと。
 とすれば、その娘であるシルウィーからも半年後には侯爵令嬢としての身分が失われる。

「ですので、彼女とご結婚なされるのであれば、名目上は侯爵令嬢であるここ半年のうちが、まだ問題は少ないかと。でないと周囲との軋轢(あつれき)が大きくなりますのでね」
「うるせーな。しないっての」
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