魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
「そういえば……ハクスリンゲン家といったが、もしやお主、あのマルグリットの娘なのか?」
「母をご存じなんですか!?」
だが思わぬところで、母の名前を聞いた私が過剰に反応すると、クリム様は思いも寄らぬ事実を明かしてくれる。
「知っているも何もいわば戦友じゃ。マルグリットがボースウィン領を訪れた時、幾度も肩を並べて戦ったものよ。気性は荒っぽかったが、人を想い、力を尽くそうという志を備えた、よき娘であった。よもや、あのような若さで亡くなろうとは……」
クリム様は、痛ましい表情で胸を抑えると、しばし黙祷を捧げてくれる。
「うむ……。帝国史において最も多くの民を救った誉れ高き賢者の早逝は、帝国百年の栄華を失ったに等しい。まことに悔やまれるな……」
「そう言っていただき、母も報われると思います」
「顔をよく見せてくれるか」
「はい」
ここにも、顔も見たことのない母のことを知る人がいて、なんだか不思議な感覚だ。やや視力が衰え始めているのか……私が正面に立ち近寄ると、クリム様は懐かしそうに笑った。
「母をご存じなんですか!?」
だが思わぬところで、母の名前を聞いた私が過剰に反応すると、クリム様は思いも寄らぬ事実を明かしてくれる。
「知っているも何もいわば戦友じゃ。マルグリットがボースウィン領を訪れた時、幾度も肩を並べて戦ったものよ。気性は荒っぽかったが、人を想い、力を尽くそうという志を備えた、よき娘であった。よもや、あのような若さで亡くなろうとは……」
クリム様は、痛ましい表情で胸を抑えると、しばし黙祷を捧げてくれる。
「うむ……。帝国史において最も多くの民を救った誉れ高き賢者の早逝は、帝国百年の栄華を失ったに等しい。まことに悔やまれるな……」
「そう言っていただき、母も報われると思います」
「顔をよく見せてくれるか」
「はい」
ここにも、顔も見たことのない母のことを知る人がいて、なんだか不思議な感覚だ。やや視力が衰え始めているのか……私が正面に立ち近寄ると、クリム様は懐かしそうに笑った。