魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
 座席に倒れ込む形になっていた私は慌てて立ち上がり、逃げようとするものの……東屋の出口は彼に塞がれ、窓を乗り越えるしかない。しかしそんなことを考える間にも、燃え盛る火球が私を照準し、思わずぎゅっと目をつぶる。

『大丈夫……あの子が、来た』

 そこで頭の中に涼やかな女性の声が響いた。
 同時に、目の前で白い霧が渦を巻き、それが凝縮したかのように、忽然と丸い氷の盾が現れる。

「氷魔法だと……!?」
「きゃぁぁぁっ!」

 防がれた火球が勢いよく弾け飛び、東屋を半壊させる。

 私はとにかくそれをやり過ごそうと必死で身をかがめていたが……。
 爆発が収まった後、そこにはもうひとつ、見覚えのある背の高い人影が現れていて――。

「……なんかうるせーと思ったら、侯爵家の屋敷でなにしてやがる……!」
「スレイバート様!」
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