魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
 騎士の悲鳴と、こちらへの注意喚起がはっきりと聞こえた。
 背筋が凍る思いでカウンターを横切り玄関口に向かうと……。

 ――バキバキッ……!

 扉が割り破られ、何者かが強引に入り込んでくる。それに対して、ルシドの行動は素早く――

「はぁっ!」

 見事な蹴りで乱入者をすぐさま叩き出した。魔法の力も加えたのか、相手は大きく外に吹き飛ばされ……それに続くように私たちも入り口から飛び出ると、そこで見たのは――。

「せ、先輩! いったいこいつらは……」

 あちこちで倒れ伏したボースウィン領の護衛と、建物を取り囲む、黒甲冑の騎士たち。

 足元に転がっていたルシドの同僚のひとりが、震える声で忠告する。

「こいつら、帝、国の……。頼む、どうかふたりを連れて……逃げろ」
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