魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
 そのまま彼もがくりと意識を失い、ルシドは剣の柄に手をかけると、不気味な騎士達に向けて大声で威圧した。

「あなたたち……一体何者だっ! この建物は、ボースウィン公の婚約者であらせられるシルウィー様の所有物だぞ! それ以上の無礼を行えば閣下のお怒りに触れることと知れッ!」

 謎の騎士たちがルシドを警戒し行動を止めている間に、私はとにかく倒れている護衛たちの安否を確認していく。息はあるようでほっとしたが、今はテレサに治療を頼むこともできない。鎧を着た男性達を建物の中に運び込むのも私の力では無理だ。

 第一、あの黒い騎士たちは何者なのか。広大な領地を治めるスレイバート様の意向に逆らってまで、こんなところで一体何をしようと……?

「……え!?」

 だが、建物を囲う黒騎士たちを割るように進み出てきたその人物に、私は言葉を失う。

「ま、まさか……」

 その姿には見覚えがあるどころか――。
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