魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
嘲るように促す彼に、私は震えながら、婚約破棄の件を蒸し返すようなことを口にした。このくらいしか、彼に対して私が切り出せる手札はない。
「こ、皇太子様は、私との婚約を破談にする際、法務局に掛け合い莫大な賠償金を請求されましたね……。そ、そのようにしておきながら、このなさりようはあんまりです。私の身柄は、すでにボースウィン公爵の所蔵物。それを横から掠め取るようなことをされては……皇族の権威というものに傷がつくのではありませんか!? どうか……なにとぞ、その考えをお改めくださいませ……!」
私は祈るような面持ちで両膝を地面に突き、頭を垂れた。すると上から冷酷な皇太子の声が降ってくる。
「ほほう、なるほど。こんなところで下民の真似事をしていても、まだその身は貴族であり、帝国法の保護対象だとのたまうか。確かに……それならば人身の略奪が行われた場合、被告人は帝国法第二十五条によって、死罪もしくは終身刑に服することと定められている。そのような犯罪者はラッフェンハイム皇家の歴史にただひとりとしておらぬな」
「で、では……」
まさか、自分が脈々と受け継がれてきた高潔な血筋に、不名誉を刻むわけにはいかないはず。目の前の皇太子が諦めてくれることを期待した私は、ゆっくりと顔を上げた。
だが――。
「こ、皇太子様は、私との婚約を破談にする際、法務局に掛け合い莫大な賠償金を請求されましたね……。そ、そのようにしておきながら、このなさりようはあんまりです。私の身柄は、すでにボースウィン公爵の所蔵物。それを横から掠め取るようなことをされては……皇族の権威というものに傷がつくのではありませんか!? どうか……なにとぞ、その考えをお改めくださいませ……!」
私は祈るような面持ちで両膝を地面に突き、頭を垂れた。すると上から冷酷な皇太子の声が降ってくる。
「ほほう、なるほど。こんなところで下民の真似事をしていても、まだその身は貴族であり、帝国法の保護対象だとのたまうか。確かに……それならば人身の略奪が行われた場合、被告人は帝国法第二十五条によって、死罪もしくは終身刑に服することと定められている。そのような犯罪者はラッフェンハイム皇家の歴史にただひとりとしておらぬな」
「で、では……」
まさか、自分が脈々と受け継がれてきた高潔な血筋に、不名誉を刻むわけにはいかないはず。目の前の皇太子が諦めてくれることを期待した私は、ゆっくりと顔を上げた。
だが――。