魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
「シルウィー様は……渡さない」

 目を見開いた私の前には、庇うようにして立つルシドの背中があった。

「ルシド! お願いだから彼らには逆らわないで! あなたの身まで危険に晒される! お姉さんを、助けに行くんでしょう!」

 必死に呼びかけた私の声を遮るように、彼の身体が激しい魔力を帯び始める。

「それは聞けません。シルウィー様は、これからのボースウィン領に、絶対に必要な方なんです。このような無法、見過ごせるはずはない。それに……僕は、あなたを守ってみせると、自らに誓ったんだ!」
「二度は……さすがに見逃してやれんぞ。ククク、我が決定に逆らうのなら、それなりの代償を覚悟しているのだろうな! 近衛ども……思い知らせてやれ!」
「「ハッ!」」

 十人以上いる周囲の黒騎士達が一斉に剣を抜いた。兜の奥からこちらを見る敵意の視線が突き刺さってくるようだ。

 彼らは半円の形に布陣し、油断なく私達を取り囲む。そしてそのうちのひとりがすぐさま、長剣を振りかぶりルシドへと襲い掛かった。
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