魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
 ルシドは臆すことなく言い切ると、一歩も引かない構えだ。

 それはそうと、私にはここにきてまだ動きを見せないヴェロニカがどうも怪しく思えてきていた。精霊教会に属する彼女ならば、先程の合間に騎士達を治療し、戦線に復帰させることができそうなものだけれど――。

「お前は勘違いしている――」

 そして、皇太子様は近衛騎士達の敗北になんの痛痒も感じていない。
 彼は無造作にこちらに歩み寄ってくる。そして――。

「――――くっ!?」

 銀光の残像が交差し、火花が散った。

 気付けば、ルシドは抜かされた剣で必死の防御を強いられていた。
 指揮官の血に濡れた細剣が、彼の首筋をかすめ、浅い傷を付けている。

 それだけにはとどまらず――皇太子様の背中からは哄笑と共に高密度の魔力が噴き出し始めた。
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