魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
『――いけない。憎しみや否定に心を委ねないで……そんなものじゃなく、あなたにはもう、使うことのできる力があるはず』
(それって……?)

 そんなやり取りが、ごくわずかなイメージの瞬きとして私の脳内で繰り広げられた。ペンダントから漏れた青い光が、私の頭を冷やし、すべきことを明確にした。

(祈りの力……。呪いが闇の魔力の塊だというのなら、他の魔力だって、吸えるはず!)

 ただ、ルシドを助けたい。それだけを一心に願い、私の視線は皇太子様の青い業火へと絞られる。脅威の源であるあれを、私が……どうにかする!

「……なにっ!?」

 異変を感じた皇太子様が振り返った。彼の膨大な魔力がこちらに引き寄せられるのを感じたのだろう。純粋に人から放たれる魔力を、今私は手も触れずに吸い取っている。その強大すぎる魔力に、身体の内部がびりびりと引き裂かれるような痛みを感じて、私ごと破裂してしまいそうだ。だけど、耐える。

「魔力を……奪う力だと!? ゆ、許せぬ! 我が血筋に流れるこの尊い魔力を簒奪しようなど、強者が制するこの世界の摂理を歪める行い! くっ……まずはこやつを始末し、その後でゆっくりといたぶってやる! そこで見ていろ!」
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