魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
 でも、これだけじゃダメだ……皇太子様の動揺を誘っただけで、わずかな時間を稼ぐことしかできていない。

(諦めて……やるもんか!)

 皇太子様から再び攻撃の気配が感じられた瞬間、私は両手を付き出していた。たった一度でもいい……それで私の命が尽きたっていい……だから――目の前の大切な人の命を、救う魔法を……!

「『あなたを(私を)――』信じて!」

 自分へと呼びかけた声が、頭の中で誰かと重なり――身体に吸い込んでいた魔力が急速に逆流する。

「なっ……ぐわぁぁぁっ!」

 そこから手のひらごと焦がしそうな勢いで放たれた渦巻く青い火炎が……油断していた皇太子様の上半身を直撃し、見事に吹き飛ばした……!

「ルシドっ……!」

 喜ぶ間もないまま距離を詰め、地面に落ちた彼の身体を、私はしっかりと抱き止める。よかった……まだ息はある。そのままなんとか彼の身体を引きずり、テレサのもとで治療を頼むんだ。そして、どうにかして皆でボースウィン城へ――……。
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