魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
「ぐっ……」
「……覚えてるよな? てめぇは俺に一度公衆の面前で恥をかかされてんだぜ」
「……あ、あのような余興……父上の顔を立て、親の七光りで覚えめでたき貴様に華を持たせてやったにすぎぬ! あれから何年も研ぎ澄ませた我が魔力に……床に臥せ、無為に時を過ごすだけだった貴様などが、敵うと思うなぁッ!」
ふたりの間にはなんらかの因縁でもあったのか……先に仕掛けたのは、表情に復讐心を浮かべた皇太子様の方だった。炎の魔力に包まれた細剣が、無防備なスレイバート様の身体を貫かんと迫る。あんなものをまともに受ければ、一撃で燃やし尽くされ、炭の塊となってぼろぼろに崩れ落ちてしまってもおかしくはない。
「確かにな……」
「――なっ!?」
しかしその強烈な突撃を、なんとスレイバート様は素手で掴んでしまった。身体に宿る魔力の光が一層眩さを増し、皇太子様の顔が……明らかな焦燥に歪む。
「ぐっ……は、離せ!」
「俺は……この数年間、何もできなかった。親父から託された領主としての信頼も、この領地も守れずに、全部中途半端に投げ出しちまうところだった。……けどな」
「……覚えてるよな? てめぇは俺に一度公衆の面前で恥をかかされてんだぜ」
「……あ、あのような余興……父上の顔を立て、親の七光りで覚えめでたき貴様に華を持たせてやったにすぎぬ! あれから何年も研ぎ澄ませた我が魔力に……床に臥せ、無為に時を過ごすだけだった貴様などが、敵うと思うなぁッ!」
ふたりの間にはなんらかの因縁でもあったのか……先に仕掛けたのは、表情に復讐心を浮かべた皇太子様の方だった。炎の魔力に包まれた細剣が、無防備なスレイバート様の身体を貫かんと迫る。あんなものをまともに受ければ、一撃で燃やし尽くされ、炭の塊となってぼろぼろに崩れ落ちてしまってもおかしくはない。
「確かにな……」
「――なっ!?」
しかしその強烈な突撃を、なんとスレイバート様は素手で掴んでしまった。身体に宿る魔力の光が一層眩さを増し、皇太子様の顔が……明らかな焦燥に歪む。
「ぐっ……は、離せ!」
「俺は……この数年間、何もできなかった。親父から託された領主としての信頼も、この領地も守れずに、全部中途半端に投げ出しちまうところだった。……けどな」