魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
「んで、あんたも俺達に喧嘩を売るつもりか?」
そこには、指摘されないと気付かないくらいに気配を抑えたヴェロニカが佇んでいた。彼女はさして動揺もせずに姿を現すと、スレイバート様に向けて艶然と微笑みかける。
「いいえ。私はその方のお付き合いでここを訪れただけですので。噂に名高い聖女様のお力と、ボースウィン卿の実力――それを見られただけで充分。この場は引き下がらせていただきますわ」
彼女がパチッと指を鳴らすと、その場に倒れていた黒騎士たち全員が同時にふらりと立ち上がった。今の一瞬で……しかも離れた場所から各自に治癒魔法を施したのだとしたら、さすが精霊教会の巫女、信じ難いほどの技量だ。……ただ、それにしては騎士達の動きがぎこちないというか、少々……違和感があるような気がしたが。
「では、ボースウィン卿、そして聖女シルウィー。いずれ、また」
一応殺してしまわないように配慮はしたのだろう。氷中から微かなうめき声を漏らす皇太子様を騎士達に担がせ、ヴェロニカは余裕を感じさせる後ろ姿でゆっくりと消えていった。
それを見送ると、スレイバート様が疲れたように首を振りながらこちらにやってくる。
そこには、指摘されないと気付かないくらいに気配を抑えたヴェロニカが佇んでいた。彼女はさして動揺もせずに姿を現すと、スレイバート様に向けて艶然と微笑みかける。
「いいえ。私はその方のお付き合いでここを訪れただけですので。噂に名高い聖女様のお力と、ボースウィン卿の実力――それを見られただけで充分。この場は引き下がらせていただきますわ」
彼女がパチッと指を鳴らすと、その場に倒れていた黒騎士たち全員が同時にふらりと立ち上がった。今の一瞬で……しかも離れた場所から各自に治癒魔法を施したのだとしたら、さすが精霊教会の巫女、信じ難いほどの技量だ。……ただ、それにしては騎士達の動きがぎこちないというか、少々……違和感があるような気がしたが。
「では、ボースウィン卿、そして聖女シルウィー。いずれ、また」
一応殺してしまわないように配慮はしたのだろう。氷中から微かなうめき声を漏らす皇太子様を騎士達に担がせ、ヴェロニカは余裕を感じさせる後ろ姿でゆっくりと消えていった。
それを見送ると、スレイバート様が疲れたように首を振りながらこちらにやってくる。