魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
「厄介なやつに目を付けられたもんだぜ。お互いにな」

 おそらくあの様子では、ふたりとも私たちへの手出しを諦めることはないだろう。再戦の予感に肩を震わせつつ、私はスレイバート様にたどたどしく尋ねた。

「あ、あの……ど、どうやって彼らがここに来たことを……」
「領境にある関所の衛兵から、無理やりあいつらが突破したって緊急の馬が届いてな」

 彼が苦笑しながら語ってくれた事情によると――本日からしばらく遡り、公式に皇太子様たちの来訪の予定が送られてきていたらしい。
 そこで、彼らを私から遠ざけるべく城から外へと送り出したのだが、その対応では甘かった。皇太子たちは城への招待を無視して勝手に領内に乗り込むと、ゆく先々で聖女についての噂を聞き込み、ここに訪れたのではないかということだ。

「聖女の正体がお前だと、あいつらが気付いてたのかは疑問だけどな」
「そうだったんですか……。あの、ありがとうございます」

 どちらにしても、彼らと相対せず問題に決着がつくことはなかったろう。
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