魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
 テレサ様は部屋の外に出てゆき、私はにこりと微笑むルシドなる青年と向かい合った。令嬢である彼女がお茶汲みに出て行くのも変だけど……今はそれよりも、あの状況からどうやって私たちが生き残ったかだ。

「では、僕たちが現場に到着したときの話からさせていただきましょう――」
「ええ……」

 緊張する私の前で、彼目線で見た、あの時の出来事が語られてゆく。



「本当にそんなことが……?」
「ええ、僕たちが駆けつけた時には、ちょうど魔法がおふたりに迫っていて――」

 真面目な顔で語る青年ルシドの隣で、テレサ様の淹れるお茶の湯気が上がる。

 彼が私に話してくれたいきさつはこうだ。
 このボースウィン城の主――私を助けにきてくれたボースウィン公スレイバート様は、とある事情のため、この不案内な領地で私の到着が遅れることを恐れて数名の騎士と共に迎えに出たのだという。ルシドさんもそのうちのひとりで、私達がこの道を通るのを分かっていて、スレイバート様の隣で馬を走らせていた。
< 41 / 1,187 >

この作品をシェア

pagetop