魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
 彼の視線が指し示す先……そこには。

「あ…………あぁぁぁぁぁぁ」

 ――がっくりとその場に膝を崩す。

 予想してはいたけれど……そこにはほぼ全焼して崩れ、黒っぽい瓦礫の山となってしまった私のお店が煙を上げていた。

「あれじゃあもう住めねーな」
「ちょっとお兄様……デリカシーがなさ過ぎます!」

 皮肉気に唇を曲げたスレイバート様に、わずかに元気を取り戻したテレサが食って掛かる。背負われたルシドからも、どこか安堵したような、規則正しい寝息が聞こえてくる。

(ま……どうにかなる、か)

 それでも、一番大切な人たちは無事でいてくれた。
 また明日からも、私はこの土地で暮らしていられる。ならば、また頑張って、必要なものは新しく手にしていけばいい。
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