魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
『世の中、どうしようもないことはあるもんだろ。俺だって、呪いで命を落としかけて、お前らにずっと世話かけて……あげく偶然こいつに助けられて生き残った。命さえありゃ、次に進めるってこった。今回、お前があの野郎に勝てなかったのは確かだ……。だが、この次があったとしても、また同じように負けるつもりなのか?』
『分かっています……でも』

 強い語気で奮起を促した目標と仰ぐ人物の言葉にも、ルシドは首を振る。握りしめられて白くなったその手からは、彼がいかに自分の力不足に悔しさを抱いているかが窺い知れて……。

 ルシドはスレイバート様をきっと見据えると、深く頭を下げた。

『スレイバート様、申し訳ありません。僕をシルウィー様の護衛から外してください』
『――――ぇ』

 そんな資格もないくせに、私の口からは拒絶されたような掠れ声が漏れてしまった。彼の申し訳なさそうな声音が、私の胸を打つ。

『シルウィー様、本当なら僕がこの手であなたを守って差し上げたかった……。でも、もう自信がないんです。今回と同じようなことがもし起きてしまったら、次は……』
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