魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
 そして、片手を上げるとゆっくりと馬を操り……しばらく行動をともにする仲間の騎士たちと一緒に並足で遠ざかっていった。

 ああ……本当にいなくなってしまうんだ。やっとそんな実感が湧いてきた私の隣で――

「――――――ぅ」

 微かな嗚咽とともに――

「テレサ」

 飛び出そうとした少女の肩を、スレイバート様が掴んで止めた。

「うぅ……うぁぁ……」

 今まで、必死に我慢していたのだろう。大粒の涙が、ぎゅっと瞑られた彼女の両目から、ぼろぼろと零れていく。

 その泣き顔を胸で隠してやりながら、スレイバート様は離れゆくルシドの背中を、目に焼き付けるようにして見守っている。
< 425 / 1,187 >

この作品をシェア

pagetop