魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
「あのう……閣下? ご自身のお気持ちは、はっきりと伝えられたのですよね?」
「……てない」
「……なんですと?」
「うるせえな! まだ伝えてねえって言ったんだよ!」
絶対分かっているのにわざわざ聞き返してきやがったクラウスにこちらが苛立ちを募らせると、やつはやれやれといった様子で席に戻り、何食わぬ顔でペンを動かし始めた。
「いやあ……そこは男としてのプライドにかけてもはっきりさせておくところでしょうに。シルウィー様はお優しい方ですが、なにしろ鈍……いや、思慮深いお人ですからねぇ。真正面からはっきりと伝えねば、またすぐに、余計なことを考えてお外に旅立ってしまいかねませんよ」
「んなことは分かってる。でも……いつどこだっていい、ってわけにもいかねーんだろ、こういうことは」
「閣下も意外と繊細だ」
臆病だと笑われた気がして、俺は「ほっとけ」と悪態をつく。クラウスは先程までの積極性もどこへやら。こちらの相談を片手間に物凄い勢いで仕事を片付けていく。
「……てない」
「……なんですと?」
「うるせえな! まだ伝えてねえって言ったんだよ!」
絶対分かっているのにわざわざ聞き返してきやがったクラウスにこちらが苛立ちを募らせると、やつはやれやれといった様子で席に戻り、何食わぬ顔でペンを動かし始めた。
「いやあ……そこは男としてのプライドにかけてもはっきりさせておくところでしょうに。シルウィー様はお優しい方ですが、なにしろ鈍……いや、思慮深いお人ですからねぇ。真正面からはっきりと伝えねば、またすぐに、余計なことを考えてお外に旅立ってしまいかねませんよ」
「んなことは分かってる。でも……いつどこだっていい、ってわけにもいかねーんだろ、こういうことは」
「閣下も意外と繊細だ」
臆病だと笑われた気がして、俺は「ほっとけ」と悪態をつく。クラウスは先程までの積極性もどこへやら。こちらの相談を片手間に物凄い勢いで仕事を片付けていく。