魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
「その様子ですと、公爵家のことを考えた打算から、というわけでもないのでしょう? でしたら、多少強引に迫ってでも、さっさと籍を入れてしまうべきだとは思いますがねぇ……。言っておきますが、時間は待ってはくれませんよ?」
「……それも、分かってる」

 呪いで臥せり、何年という時間を無駄にした俺からすれば、耳に痛い正論で……黙り込むしかない。

 こいつの言う通り、もう半年もせずにシルウィーは貴族でなくなる。そうなると余計に面倒臭いことになり、結婚に漕ぎつけるのにも相当の根回しが必要となるだろう。

 それに、最近あいつは厄介なやつらに目を付けられてる。シルウィーをこちらに迎え入れるのが早ければ早いほど、公爵家の力であいつを守ってやれる。でも……。

「もう……あいつの気持ちを無視することはしたくないんだよ」

 ぐだぐだとはっきりしない自分には嫌気が差すが……これ以上シルウィーを自分の弱さのせいで振り回すようなことはしたくない。

 正直、あれだけ突き放した後で気が変わったから結婚しよう、なんてすぐに手のひらを返す俺を、あいつが受け入れてくれるのかは自信がない。
 だけど……俺はルシドと話した時にあいつに誓ったんだ。この手で、ちゃんとシルウィーを守り抜くと……。
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