魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
 ――テレサがシルウィーを連れて消えた後、ルシドは生意気にも俺の肩を掴んで責め立ててきやがった。

『いつになったら、あなたは自分と向き合えるんです! それが事態を拗らせているんだって、なぜ気付かない!』
『お前に、なにが分かる……!』
『分からないはずがないでしょう! いい加減、他のせいにして自分の気持ちから目を逸らすのはやめたらどうなんだ! 僕は、確かにあなたよりずっと弱い。でももし僕があなたであれば、迷わずシルウィー様の手を取る道を選ぶ!』
『それがあいつにとって不幸せになる道だってんだろ! だから俺は――』
『――それを決めるのはあなたじゃない!』

 先のことも考えられない、未熟なやつだと思っていたのに……。

 ルシドは叫ぶと、顔をきつく歪めて俺の胸元を拳で、口惜しそうに叩く。

『シルウィー様は、人を愛せる方です。きっと特別な人のためにする苦労なら、どんなことだって厭わない。なのに、あなたが彼女を拒絶なんてするから……彼女は、あなたを幸せにできる人を早く見つけられるようにって、城を出たんじゃないですか!』
『――――っ』

 返す言葉もなく、俺はルシドの襟首にやっていた手を離す。
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