魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
 でもそれじゃ多分、ただの押し付けだ……。本人にとって重大なことは、きっとなにも知らないまま、他の誰かに決めさせていいことじゃなかった。

『……ルシド、お前に話さなきゃいけないことがある』
『…………なに、を』
『お前の姉のことだ』

 それを思い知らされた俺は……こいつに明かすことにした。姉のアイリーンが、今帝国で窮地に立たされていることを……。



 ――クリム爺のもとにアイリーンからの密書が届いたのは、今から数ヶ月前。

 当国とほぼ関わりのないセルベリア共和国の、見知らぬ人物からの手紙に最初はやり過ごそうとした彼も、何通と懇願に近い形で送られるその内容に心を打たれ、話を聞くことにした。
 その後、打ち合わせ通りに国境付近に現れた若い女性がルシドの姉であることをを確認すると、丁度開く宴の時期に合わせ、自由を拘束した上で招き入れたのだそうだ。
< 434 / 1,187 >

この作品をシェア

pagetop