魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
厳重な監視付きでの俺との密会。そこまでして接触したがった理由は言うまでもなく、ラッフェンハイム王国に逃れたと風の噂で聞いた弟のルシドのこと。
彼女は俺から、ルシドが騎士として大成しかけていることを聞くと、涙ぐんで深く感謝を告げた。そしてくれぐれも弟のことを頼むとそれだけを告げ、清々しい顔で去る俺を見送った。
後からクリム爺に聞いた話だが……セルベリア共和国ではで今、反政府派が勢力を増し、現政府が打倒される寸前であるらしい。元首だったルシドの父はもはや反政府派の手中にあり、その地位を引き継いだルシドの兄が、かろうじて現政府の勢力を維持し、陥落寸前の拠点を支えている状態なのだとか。
そして肝心のアイリーンの未来はおそらく現政府の打倒後、反政府派が必ずしも力だけによって国を手に入れたのではないという建前のため、新たな国家元首との婚姻に利用される。反政府派の内情を知りすぎた彼女は数年の命は保証されるだろうが、その先の自由なき生活に光が射すことはないだろう。
彼女は分かっていながらそのことにはひとつも触れず、弟の安否だけを確かめて国に戻って行ったのだ――。
それを聞いたルシドは、しばしベッドに座り込んだまま動かなかった。
しかし決断は早く、俺に向き直ると、地面に額を付けて頼み込む。
彼女は俺から、ルシドが騎士として大成しかけていることを聞くと、涙ぐんで深く感謝を告げた。そしてくれぐれも弟のことを頼むとそれだけを告げ、清々しい顔で去る俺を見送った。
後からクリム爺に聞いた話だが……セルベリア共和国ではで今、反政府派が勢力を増し、現政府が打倒される寸前であるらしい。元首だったルシドの父はもはや反政府派の手中にあり、その地位を引き継いだルシドの兄が、かろうじて現政府の勢力を維持し、陥落寸前の拠点を支えている状態なのだとか。
そして肝心のアイリーンの未来はおそらく現政府の打倒後、反政府派が必ずしも力だけによって国を手に入れたのではないという建前のため、新たな国家元首との婚姻に利用される。反政府派の内情を知りすぎた彼女は数年の命は保証されるだろうが、その先の自由なき生活に光が射すことはないだろう。
彼女は分かっていながらそのことにはひとつも触れず、弟の安否だけを確かめて国に戻って行ったのだ――。
それを聞いたルシドは、しばしベッドに座り込んだまま動かなかった。
しかし決断は早く、俺に向き直ると、地面に額を付けて頼み込む。