魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
「なあ、クラウス。そういえば、お前に任せてたあれはどうなってる?」

 俺のそんな質問に、クラウスは珍しく困惑気味の表情を浮かべた。

「申し訳ございません。やはりマルグリット様の血縁関係については、情報を辿ることができず……」
「お前でもか? いったい……どういうことなんだ」

 母方の血縁が婚姻に有利に働く可能性を考慮して、俺は先日クラウスに、シルウィーの実母マルグリットの家系についての調査を依頼した。万一有力貴族の血が混じっていれば、たとえハクスリンゲン家が貴族籍を失くそうと、母方の家柄で彼女の身分を保証できる。

 認めてやるのは癪なのだが、クラウス以上に有能な男はこの領内にいない。数日あれば、歴代の皇帝の隠し子の数も、精霊教会に今年秘密裏に寄進されたお布施の額でも、なんだって突き止めてみせるくらいの手腕はもっている。

 しかし、そんな彼でも、マルグリットの出自は辿れなかったらしい。
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