魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
「たとえ孤児であろうと、帝国民であれば調べ上げる自信はありましたが……どこの街を当たっても、それらしき人間が見つからないんですよねぇ。ある日から、忽然と現れたように帝国軍部の魔法士遊撃部隊に所属していて。その辺りにも探りを入れてみましたが、彼女の生い立ちについて明かされた者は、誰もいないようで……」
「気にはなるが、仕方ねーな……」
「引き続き帝国全土に手がかりを求めていますので、なにかあればお耳に入れます」
「頼んだ」

 マルグリットの出生に関しての手がかりは途絶え、母親のことを知りたがっているシルウィーになにも教えてやれないのが残念だが、この件に関しては新たな情報が届くと信じて粘り強く待つしかない。

(後は、あの赤髪……今度シルウィーを狙って来やがったら容赦しねえ)

 俺はキリと唇を噛むと、あの時取り逃がした暗殺者のことを思い出す。

 クリム爺も色々と手を回してくれてはいるが、奴の消息はまだ掴めない。剣呑な顔立ちに目立つ派手な髪、小綺麗な身なり。この領地で見かけていれば思い出せそうなものだが……少なくとも、ボースウィン領の貴族ではなかった。領地外のどこぞの家の子息ってとこか……?
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