魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
 身分のこともあるし、彼は気安く呼び捨てにしてくれと口元を緩める。そんな彼と双方ぺこぺこ頭を下げ合っていると、くすくすと笑っていたテレサ様が、目を輝かせて身を乗り出した。

「それより、とっさに数十体もの魔物の攻撃を防ぐなんて、さすが賢者と呼ばれたマルグリット様の血筋を引いたお方ですわ! いったい、どんな属性の魔法がお得意なんです?」
(えっ?)

 この反応、彼女は私が魔法を使えないということを知らない……?

 皇太子様に婚約破棄されたことを彼らが知らないはずはないのだが……この再婚約自体も随分急だったし、帝国の中枢から遠いこちらにまで詳細な事情までは伝わってないのかもしれない。

 この期待ぶり……私が魔法を使えないことが知られたら、この城を追い出されても仕方がない。
 かといって、今までみたいに嘘を吐くのは……なんだかもう疲れた。諦めて、私は正直に彼女達に事情を明かすことにした。

「あ、あの! 私が、魔物の攻撃を防いだというのは……なにかの間違いだと思うんです。なにせ私には……魔力が、まったくないんですから」
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