魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
 テレサ様とルシドの表情がきょとんとしたものに変わり、とても心苦しい。
 きっと彼らも賢者の娘で絶大な魔法の才能があることを期待してここに受け入れることを決めたはずだし、がっかりする彼女達が容易に予想できて、私は顔を俯かせる。

「――そんなはずありません!」

 なのに、テレサ様はいきなり私の手首を取ると、しばらく目を閉じる。なんとなく分かった。これは、私の中に魔力があるかを確かめているのだ。

 優秀な魔法士は、身体に触れたり目視などで、他者に魔力があるかどうかを見ることができる。彼女もそれができるのだろう。でもそうすれば、はっきりと私が魔法関係において無能であることが分かるはず。

 やがて放たれる落胆の言葉を覚悟していた私――だが、その言葉に届いたのは、思いも寄らない一言だった。

「ご冗談を言われるなんて、お人が悪いですわ。シルウィー様の中には、今確かに火の魔力が感じられます」
「―――――えっ!?」
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