魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
「お姉様ならきっとできると思っていました。さあ、それをこちらに……」

 どうしてか、テレサは私がそれをできたことをすんなりと受け入れると、私の目の前に鉢植えに入った一輪の黄色い花を差し出す。可哀想にそれはすっかり萎びており、土の上にくたりと花びらを押し付けている。私は緊張しながらも、そっとその花に手を近づけ、元気になれと一心に祈った。

 すると瞬く間に光粒は吸い込まれてゆき――なんと、花は重たい頭を持ち上げるようにして、ぐぐっと太陽の方を向いた。やがてそれは、日差しを受け止めるようにふわっと大輪の花を開かせる。

 テレサの喜びの声が響いた。

「おめでとうございます! この子が、お姉様の救った記念すべき患者様第一号ですね! その調子で練習していれば、すぐに治癒の魔法も身につきますわ!」
「あ……ありがとう」

 一方、私はいまだに夢を見ているような気持ちで自分の手のひらを見つめた。
 テレサが戻した木棚の上で、歓迎するように黄色の花びらを広げたそれに指先で触れる。
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