魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
 燿魔花――魔石と同じように土中から集めた魔力を蓄え、魔力回復薬などの生成にも使われたりする、有用な植物だ。特定の環境下でしか育たないため大変高価で……幼い頃、失った魔力を少しでも元に戻させようと、父がその生の絞り汁を毎日飲ませてきたという、文字通り苦い記憶があるため、どちらかといえば嫌いな花だった。
 それが今になって、この花を私が魔法で治しているというのだから、世の中の因縁のようなものを感じずにはいられない。

 それでも、こうしてここにこられて……私はよかった。失われた魔力はきっと戻らないのだろうけど、その代わりに、たくさんの人と繋がることができたから。

 多くの人の記憶に残る母のように、大勢を救うことはできないだろうけど……。でもこうして魔法を練習していれば、いつかまた、今日みたいに誰かの役に立てる日がきっと来る。

「うん……テレサ、私これからも一生懸命やってみるわ。だから、どんどん教えてちょうだい! あなたが使っている、魔法のこと!」
「うふふ……どうやら、お姉様には普通の魔法より、傷付いた者を癒す治癒魔法の方が似合っているようですね。さあ、どうぞこの私めの魔力、ありったけ吸い取ってくださいな!」
「だ、ダメよ! そしたら、テレサが助けられる人が少なくなっちゃうじゃない……。でも後ちょっとだけ練習させてね」
「ええ、もちろん!」
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