魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
 しかしそんなもの当然使い道はなく。お店を綺麗に立て直したら、後はボースウィン領の復興資金に全部寄付して商売人生活を再開しようと、そう思っていたのだけど……。

「閣下ぁ……?」
「ぐっ……」

 クラウスさんが、ろくでなしを見るような悲しき目でスレイバート様を見つめると……当の本人はどんよりと表情を暗くさせ、項垂れながらぽつりと何事かを呟く。

「……しねーよ」
「はい?」

 小さすぎるその声に私が聞き返すと、スレイバート様は真っ赤な顔で、勢い余ったかのように声を荒げた。

「しねーつってんだ! 婚約の取り消しは無効! ナシ! それについてもまた後日ちゃんと然るべき場所で説明する! だから……お前は妙な心配してねーで、もうずっとここにいろ!」
「ええ!? で、でもですね~……」
「でもも、もしももねえ! あ~もうこの話は終わりだ! ほら、仕事再開! きりきり働いて、領地をもっと豊かにすんぞ!」
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