魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
というか、スレイバート様からふたりの関係は良好だと聞いていたし、尋ねてみようかと私から話しかけたのだ。
「変なことを聞いてもいいかな? テレサのお母様ってどんな方?」
「母様ですか? え~と……ええ、素敵な方ですよ。とっても美人で楽しくて優しくしてくれて、でも自分の意志はしっかり持っている人で……そうそう――」
テレサの母親だというのだし、確実に美人であることは想像がつく。でも、彼女が語る母親のエルマ様は、私の予想の斜め上をいくスペシャリティーな存在であるようだった。
「母様ったら滅茶苦茶なんですよ。ある日、単身ボースウィン城に乗り込んで父を強引に呼び出したかと思ったら、いきなりその場で「一目惚れしたから、私と結婚なさい!」って迫ったらしいんです。なのにいざ私が産まれたら『こんな土地、雪ばっかりで寒くてやってられない!』なんて実家にさっさと帰ってしまったみたいで。お父様は気にしなくても、配下の皆と大喧嘩……」
出禁になってもおかしくはなかったのだと、笑いごとでは済まないヒヤヒヤ話を、テレサはいかにも楽しげに肩を揺らして話す。それでも、注いだミルクを綺麗に立てたスプーンでくるくるとかき混ぜている時の苦笑からは、母への慕情と淡い寂しさが透けて見えた。
「変なことを聞いてもいいかな? テレサのお母様ってどんな方?」
「母様ですか? え~と……ええ、素敵な方ですよ。とっても美人で楽しくて優しくしてくれて、でも自分の意志はしっかり持っている人で……そうそう――」
テレサの母親だというのだし、確実に美人であることは想像がつく。でも、彼女が語る母親のエルマ様は、私の予想の斜め上をいくスペシャリティーな存在であるようだった。
「母様ったら滅茶苦茶なんですよ。ある日、単身ボースウィン城に乗り込んで父を強引に呼び出したかと思ったら、いきなりその場で「一目惚れしたから、私と結婚なさい!」って迫ったらしいんです。なのにいざ私が産まれたら『こんな土地、雪ばっかりで寒くてやってられない!』なんて実家にさっさと帰ってしまったみたいで。お父様は気にしなくても、配下の皆と大喧嘩……」
出禁になってもおかしくはなかったのだと、笑いごとでは済まないヒヤヒヤ話を、テレサはいかにも楽しげに肩を揺らして話す。それでも、注いだミルクを綺麗に立てたスプーンでくるくるとかき混ぜている時の苦笑からは、母への慕情と淡い寂しさが透けて見えた。