魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
「テレサも話してくれたんだし、私も話さないとフェアじゃないわよね。なんでも聞いて」
「……そ、それでは。あまり好ましい環境でなかったというのはお兄様から伺ったのですが、どうしてもお姉様の口から聞いておきたくて……。ご家族は、どんな方たちだったんでしょう?」

 そのことについて、これまで誰にも深く聞かれたことはなかった。改めて周りの人たちに気を遣わせていたことを今さらながらに思い知る。

 テレサと比べると、私が家族に対して抱えてくる感情は冷たく暗いものばかりだ。

 けれどこないだルシドと話した時も思ったのだが、ここで生活するうちに私自身、ゆっくりと家族に対しての考えが変わりつつあるのを感じている。

「正直なことを言うと、お母さまについてはまだまだ他人みたいだし……お父様のことは、声すら聞きたくないくらい嫌い――だった。でももし、この先一生顔を合わせなくなるんだとしたら……それで、本当に正しいのかなって疑問に思うようになったの」

 これまでのことを謝ってほしいとか……彼が罰を受けて貧しい暮らしをしているのを見て溜飲を下げたいとか、そういう気持ちも多分、ある。
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