魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
 たとえ火や水による大きなエネルギーを魔法によって生み出したとしても、かつて私たちのもつ技術では、それを長時間維持することが困難だった。
 魔法士が発動した魔法効果を保存し、部分的に小分けして取り出したい――それが長年の魔法士たちの夢であり、近年になってようやくそれは部分的に実現された。その技術が魔道具製造技術である。

 長年の研究の末、魔法士たちは自らが行うイメージ化の過程と同質の効果を表す記号……【魔術記号】というものを発明した。
 それにより魔法士が行うような複雑な魔法は再現できないにしろ……例えば火や水を生む、あるいはものを浮遊させて別の場所に運んだり、といったごく簡単な魔法ならば、魔法士でなくても代替できるようになった。

 それに合わせ、これもまた国をあげて取り組んできた魔石からの魔力抽出技術の確立が合わさって、初めて実用に足る魔道具が完成することになり、魔法の歴史は大きく飛躍することとなったのであ~る、なんて……。

 ちょっと学者がかった老教師の口調を心の中で真似してくすりと笑った私が、結論としてなにを言いたかったのかというと――。

「やっぱりお姉様ったら、天才なのでは!? もう魔力=生命力の変換はばっちりですね! これなら、次からは軽傷治癒の実践に移っていっても問題ないかと」
「そ……そう?」
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