魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
 魔法って……こんなに簡単に使えるようになるものじゃないはずなんだけどなぁ――と、いうことだった。

 あれから植物園にて、テレサに誘われるがままに出ずっぱりで聖属性魔法の習得に勤しんでいたとはいえ、まだ一週間。なのにもう、次の段階に進むよう指示を受けてしまった。

 さすがに、生命力を分け与えただけでは、骨や血管に至るような深い損傷は治せないようだが、皮膚表面に出来た切り傷や火傷くらいであれば、草花と同じ要領で治療可能だという。

 さっそく私が自分の身体で試してみようかと、園の土いじりを手伝って付いた擦り傷に魔法の光をかざしてみようとしたところ。

「――あだだだだっ! ちょっと閣下、そんなに引っ張らないでくださいよ! 逃げ出したりしませんから……」

 園の入り口近くで騒がしい勢いがして、ふたつの体格のいい人影が重なり合って姿を見せる。

「またここに入り浸ってやがったのか……」

 それはクラウスさんの首根っこを掴みながら、ややお怒りモードでずかずかと歩いてくるスレイバート様であり、とぼけた様子でテレサが尋ねかけた。
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