魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
「ったく、んな物騒な魔法シルウィーには教えんじゃねえぞ。それに、聖属性魔法ばかりに慣れちまうと、普通の魔法を使いづらくなるだろ。魔力の変換先を間違うと、最悪魔法が暴発する可能性があるんだから。シルウィーが自分でそっちを極めたいって思うまでは、幅広く色んな魔法に触れさせてやれ」
「はぁい」

 お叱りを受けたテレサは悔しそうにしながらも、どこか嬉しそうに、スレイバート様の頭を撫でる手を受け入れていた。私としても、別の用事もあるだろうテレサに引っ付きすぎて負担を与えるわけにもいかない。聖属性魔法の修業はどうやら、一旦ここで区切りとなりそうだ。

 そこで兄弟喧嘩の隙に、スレイバート様のヘッドロックから抜け出していたクラウスさんが、襟元を整えながら彼らに尋ねる。

「おほん! で、なんなんです? この忙しいのに、わざわざ私などをこんなところに連れてきて。なにも用がないなら今すぐ執務室に戻らせていただきますよっ!」

 対して、存在を思い出したかのようにクラウスさんを見やったスレイバート様の命令は、とても断定的だった。

「お前、休暇に行ってこい」
「はあ? どうして私が……」
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