魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
「当領を帝国一豊かにし、全領民の幸福を追求してこそ我が人生! ゆえに私は立ち止まることなく、日々全力で業務に邁進せねばならぬのですっ! では、これで失礼――」
「だぁら待てっての」

 しゅたっとその場から勢いよく飛び出そうとしたクラウスさんの首がスレイバート様に掴まれぎゅっと締まる。そして、咳き込む彼を、我らが領主様はぐいっと私たちの前に押し出した。

「こういうやつだから、定期的に強制で城から追い出さねーと、いつか机で干からびてそーで怖いんだよ。だから丁度いい、お前らクラウスを連れて街の視察に行ってきてくれ。ミレッザってとこで、ちょい大きめの魔物の襲撃が起きたみたいでな」

 彼の話によると、現在は魔物の討伐も終了し騒ぎは沈静化しているらしいが、濃い瘴気の発生で街の人々がやられ、救援の要請が来ているのだとか。そこでテレサと私に街を見舞って来てほしい、とのことだった。

「それさえ済みゃあ、そのまま二、三日は羽を伸ばしてきて構わねー。その後一、二週間も経ちゃあお前の誕生日だろ。なんなら、エルマおばさんのとこに寄ってそのまま一緒に城に戻ってくりゃいい」
「お兄様……!」
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