魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
「だが……あの女の娘なら、問題はない」
「お、お兄様、シルウィー様にまだこちらの事情は……」
「話そうが話すまいが同じことだろ」

 彼は妹のテレサの制止も聞かずに瞬く間に距離を詰め、自動的に見下ろされる形になる。
 軽薄そうな言葉とは裏腹に、どこか狂おしく、なにかを求めるような瞳。

 それに釘付けになりながら、私は掠れ声で尋ねた。

「え、えと……。私はこれから……どう、なるんですか?」

 威圧的なにも思えるその姿に私がごくりと喉を鳴らすと、彼はこう答える。

「んなもん、決まってんだろ」
「きゃっ」
 
 彼が急に私の腰を抱きすくめて身体を被せ、鼻先が触れ合いそうに近づく。白と黒、半ばで塗り分けられたような顔立ちの、悪魔のような片方が皮肉げに歪む。
< 52 / 1,187 >

この作品をシェア

pagetop