魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
『お前は……いつからそのように愚かになったのだ。そのようなこと、できるはずがあるまい』
『な、なぜなので……?』
愕然としたディオニヒトを前に、皇帝は自らの息子の不出来を恥じた。
『考えてもみろ。あの地は、北方の敵国ベルージ王国から侵略を長年防ぎ止めておる要衝ぞ。そんな働きをしておる者たちを不当に罰しようとすれば、国内からは皇室に大きな非難の目が向こう。それにクリム・イシュボア、クラウス・ノイスラーを始めとした、いずれの有能な臣下たちもボースウィン公爵には忠誠を誓っており、万が一この帝国が誇る精鋭兵を差し向けたとして、やすやすとは落とせはせぬ』
『し……しかし、あの男は我が身にこれほどの傷を負わせたのですよ! それがなんの咎めもないというのは、皇族の名が傷つきましょう! なんらかの報いを受けさせねば……』
『これを見よ』
すると王は、乾いた拍手をして、謁見の間の片隅から側近にある荷物を持ってこさせた。そこでは、今も盛んに侍従たちが、なにかを運び出すため往復している。
側近が、皇太子の前で、その一抱えもある荷物を広げて見せた。そこには……。
『な、なぜなので……?』
愕然としたディオニヒトを前に、皇帝は自らの息子の不出来を恥じた。
『考えてもみろ。あの地は、北方の敵国ベルージ王国から侵略を長年防ぎ止めておる要衝ぞ。そんな働きをしておる者たちを不当に罰しようとすれば、国内からは皇室に大きな非難の目が向こう。それにクリム・イシュボア、クラウス・ノイスラーを始めとした、いずれの有能な臣下たちもボースウィン公爵には忠誠を誓っており、万が一この帝国が誇る精鋭兵を差し向けたとして、やすやすとは落とせはせぬ』
『し……しかし、あの男は我が身にこれほどの傷を負わせたのですよ! それがなんの咎めもないというのは、皇族の名が傷つきましょう! なんらかの報いを受けさせねば……』
『これを見よ』
すると王は、乾いた拍手をして、謁見の間の片隅から側近にある荷物を持ってこさせた。そこでは、今も盛んに侍従たちが、なにかを運び出すため往復している。
側近が、皇太子の前で、その一抱えもある荷物を広げて見せた。そこには……。