魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
『ま、魔石……!? も、もしやボースウィン公爵が用意したものですか?』
『当然、あそこにあるだけではないぞ。あの数十倍、王都の備蓄何年分にも及ぼうかという大量の魔石……それと貴様が先日ハクスリンゲン家から接収した賠償金の倍以上の金品を手土産に、先日ボースウィン公爵は自らの不手際を謝罪してきよったわ。そしてそれをすでにわしは受け入れておる』
『な、なんですって!?』

 自分に断りもなくなんということをしてくれたのだと――謁見室の一角を占拠するほどの資源に目にしながら歯噛みする皇太子に、皇帝は鼻を鳴らして続けた。

『もうわかったであろう。見事に病に打ち勝ち、資源と国防……その両輪を武器にこれからもこの帝国を支えていこうというボースウィン公は……やはり英雄の器。これからも先代アルフリードに劣らぬ活躍を期待できること請け合いじゃ。それをお前の個人的な恨みで処断するだと!? バカ者が……そんなことを許せば、父親のわしの名声まで地に堕ちるわ!』
『ぐっ……!』

 一喝されて黙り込んだ皇太子を、さらに皇帝はなじった。
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